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第2回
環境保全スチュワードシップ大賞
受賞のことば

池田こみち
掲載月日:2016年12月
無断転載禁


環境保全スチュワードシップ大賞について


環境行政改革フォーラム
代表幹事 青山貞一様


 このたびは、思いがけず、第二回の環境スチュワードシップ大賞を頂戴することになり、誠にありがとうございます。

 この活動は、来年2017年で18年目となります。1999年の第一回目の調査は、所沢周辺での産廃焼却炉による著しい環境影響を背景に、法制度は整備されたものの、市民が自分たち自身で毎日呼吸する空気中のダイオキシン汚染の実態を知りたいという強い要望から始まった活動でした。

 食べ物や水は選べますが、空気は選べないからです。まさに、広い視野で環境汚染を見える形で科学的に分析し、市民の関心を高め、環境改善のための活動につなげていこうとするもので、画期的な活動となりました。

 この間、北は北海道から南は沖縄県宮古島市まで、全国各地の焼却炉や廃棄物最終処分場周辺で調査が行われ、行政や事業者に対する大きなプレッシャーとなってきました。

 環境問題に限らず、調査といえば、行政が行うのが当たり前で市民はそれを受け取るだけというステレオタイプの受け身の考え方を改め、市民が自ら調査することによる意味、第三者的な立場からの評価の重要性などを市民と共有してきました。それによって、とかくNIMBYと揶揄された市民運動も大きく変わってきたと思います。

 また、10年目からはダイオキシン類だけでなく、焼却炉から排出されるその他の未規制物質(重金属類やPAH類、さらには環境ホルモン物質など)にもターゲットを広げ、まさに調査研究活動を市民とともに進めて参りました。

 その活動が20年目を目前に、評価していただけたことは大変ありがたいことで、全国の市民の皆様にもお伝えしたいと思います。

 市民活動ばかりでなく、学術的にも膨大なデータが蓄積されてきたので国際学会や国内の学会にも発表してきました。このことは市民活動にとっても大きな力となったと自負しています。

 行政や「専門家」に依存するばかりでなく、市民が自ら資金を集め、第三者の調査機関、研究者と共同して活動するという例は日本ではあまり多くありません。この活動をきっかけとして、国内でも多くの学者、専門家、研究者が市民と連携し、環境問題やその他の社会問題の解決に向けて情報発信していくことがもっと一般的になっていくことを期待したいと思います。

 この間、苦難・課題もたくさんありましたが、ここまで継続できたのは一緒に頑張ってきた全国の市民の方々、生協などの市民グループはもとより、ERI内部や協力者の皆様のおかげと改めて深く感謝申し上げます。

 ありがとうございました。

池田こみち