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参議院議員中村敦夫君提出
アスベスト禁止措置に関する質間に対する
答弁書


日本政府


2002年6月28日

一について
悪性胸膜中皮腫、肺がん等石綿が発生の要因の一つと指摘される疾患による死亡者数の今後の推移についての予測は行っていない。

二について
御指摘の「わが国における悪性胸膜中皮腫死亡数の将来予測」にっいては、昭和五十五年から平成十一年までの二十年間の国内の年齢階層別胸膜中皮腫関連死亡者数の増加状況及び人口の将来推計値を基に、平成十二年から平成四十一年までの三十年間の胸膜中皮腫関連死亡者数が五万八千人程度に達すると予測したものと承知しているが、最近の胸膜中皮腫関連死亡者数の増加状況については、診断技術の向上により患者として把握される者の数が増加していることを考慮する必要がある等の意見もあると認識している。

三について
御指摘の世界貿易機関(以下「WTO」という。)の判断については、WTOの紛争解決機関が、フランスとカナダとの紛争に係る審査の過程において、カナダの主張する石綿の「管理した使用」の手法は、ビル関連産業及び個人での使用において効果的に機能しない等の点で、フランスが設定した石綿に対する健康保護水準を達成するために同国が行った石綿の使用、流通等の禁止措置に代わるべき合理的手段として採用し得るものではないとの考えを示したものと承知しているが、我が国においては、石綿は優れた耐熱性等を有しており他の物質への代替が困難であったこと、石綿の種類により有害性に差があること等から、すべての種類の石綿の使用等の禁止までは行わず、特定化学物質等障害予防規則(昭和四十七年労働省令第三十九号)等により、呼吸用保護具の使用等石綿による労働者の健康障害を防止する措置を講ずるよう事業者に義務付けるとともに、石綿のうち有害性が特に高いアモサイト及びクロシドライトにっいては、平成七年の労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)の改正により、同年四月からその製造、輸入、使用等を禁止している。
今後とも石綿による労働者の健康障害の防止措置の実施を事業者に徹底させるとともに、現在使われている石綿にっいても、他の物質により代替できないか等を調査し、その結果を踏まえ、石綿の使用等の禁止措置について検討を行ってまいりたい。

四について
現在、市場に流通している石綿含有建材について調査したところ、製品名、商品名及び製造者名は別表第一のとおりであつた。

五について
現在、市場に流通している石綿含有商品(石綿含有建材を除く。)について調査したところ、製品名、商品名及び製造者名は別表第二のとおりであった。

六について
石綿含有商品の販売に当たっては、パンフレット等に石綿含有商品である旨の表示をすること及び石綿含有建材には石綿含有建材であることを示す「a」マークを表示することを関係業界に対し指導しているところである。
個別の石綿含有商品自体に危険性を表示することにっいては、石綿含有建材に関しては、石綿がセメント等で固定されており、切断等を行わない限り人体への影響はないこと、パイプの接合部等に使用されるシール材等建材以外の石綿含有商品に関しては、消費者が直接触れる可能性は少ないこと等から、表示の必要はないと認識している。

七について
石綿含有商品の販売の際に、石綿含有商品であること及びその危険性を表示することを義務付ける法令は存在しないが、六について述べたとおり、石綿含有商品の販売に当たっては、パンフレヅト等に石綿含有商品である旨の表示をすること及び石綿含有建材には石綿含有建材であることを示す一aLマークを表示することを関係業界に対し指導しているところであり、また、関係業界のほとんどの企業がこのような表示を行っていることを確認していることから、新たな規制を導入する必要はないと考える。

八について
ビルメンテナンス作業や電気設備工事作業において、石綿の切断、辮孔、研磨等の作業泰う際には、事業者は、特定化学物質等障害予防規則の規定により、石綿を湿潤な状態にするとともに、当該作業に従事する労働者に呼吸用保護具を使用させること、労働者が石綿を吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること等が義務付けられており、当該作業を行う労働者は、事業者から当該作業に関する安全又は衛生のため必要な事項を知らされるものど考える。また、安全衛生情報センターのホームページにおいて石綿の有害性、取扱い上の注意等に関する情報の提供が行われているところである。

九について
石綿にっいては、優れた耐熱性等を有しており他の物質への代替が困難であったこと、石綿の種類により有害性に差があること等から、すべての種類の石綿の使用等の禁止までは行わず、特定化学物質等障害予防規則等により、呼吸用保護具の使用等石綿による労働者の健康障害を防止する措置を講ずるよう事業者に義務付けるとともに、石綿のうち有害性が特に高いアモサイト及びクロシドライトにっいては、平成七年の労働安全衛生法施行令の改正により、同年四月からその製造、輸入、使用等を禁止している。今後とも石綿による労働者の健康障害の防止措置の実施を事業者に徹底させるとともに、現在使われている石綿にっいても、他の物質により代替できないか等を調査し、その結果を踏まえ、石綿の使用等の禁止措置について検討を行ってまいりたい。

十について
御指摘の「省間協議」とは、本年三月二十九目に、厚生労働省が開催し、防衛庁、文部科学省、経済産著、国土交薯及び環婁務担当冥参加した会議を指すものと考えられるが・当該会議は・関係各省庁における石綿対策の取組状況に一いての情報交換を目的与るものであり・御指摘の報道のような石綿の全面的窟用禁止にっいて検討が行われたわけではない。当該会噌においては、厚生労薯の実監当官が、当該会議の趣旨・労働安全衛生関係法一一における石綿の規制に関する姦、屡欝及び諾外国の動向、石綿使用の現状に一いて説明した後・厚生労働省以外の省庁の霧担当官が、自省庁の石綿対策の取組状況に一いて説明したが・その議事録は作成していない。

日本国政府